「動く」ことの価値を知る

限界を受け入れて生きる人たち

「仕方ないよね」という言葉、実によく耳にする言葉ではないだろうか?個人的にはこの言葉は好きではない。なぜなら、この言葉を口にした時点で、”私はすべてを受け入れます”と言っているに等しいからだ。

 

 

すべてを受け入れる、これがまた曲者で昨今はそれを促す言葉で人を導くような人もいる。それがしっかり理解でき、実践できれば本当によい成果につながるだろう。しかし、これが実に難しい。

 

 

ここではそのレベルの話ではなく、あまり深く考えず、「仕方ないよね」という言葉を使ってしまうことについて話したい。この言葉には、どうしても諦めが漂う。ただ、決して意識の上で諦めてはいない場合は多い。

 

 

私のところに来られる方は、どこに行っても原因もわからず、対処法も定まらず、それでもいろいろと試してみたけど成果が出ないという方々が多い。要するに、他所でいろんな専門家にこれ以上打つ手がないと言われて来たということ。それでも私のところを探し当てて来られる方はよいのだが、多くはその専門家たちの言葉を受け入れて生きている。他人が線を引いた限界をどうして受け入れられるのだろう?

 

答えはあなたの知らないところにある

例えば、病院で医師に言われたことをそのまま受け入れ、その中で出来ることを毎日愚直に繰り返している人がいる。原因がわからないのに薬を処方され、毎日飲んでいる。それはいわゆる症状を抑えるだけの薬だが、その効果も実はあまり感じていなかったりするケースも多い。

 

 

その他の代替療法を続けている人でも同じく、実はそれほど大きな効果は感じられていないにも関わらず、定期的に通い続ける人もいる。サプリメントなどもまるで同じパターンが多々ある。そして、運動もまるで同じ。何かの対策や予防としての運動についてだが、その効果ははっきり感じ取れていないけれど継続してる人、それらはもうすべてただのルーティーンに過ぎない。

 

 

そうではなく、本当に何とかしようと思う人は自分で調べる。本を読み、ネットもくまなく検索し、情報をとにかく集める。これは!と思うものを見つけたら訪ねてみる。よさそうだと思たら、それに一生懸命に取り組んでみる。そういう方もたくさんいらっしゃる。ただ、人の言うことを鵜呑みにしたりはせず、自分で考え動く。それは本当に素晴らしい。ただ、それでもいろいろやり尽くして、結果が出なかったんですという方も少なくない。

 

 

そこでもうひとつだけ伝えたいのは、それは自分の出来ること、考え得ることの範囲での行動の結果だということ。決して世界中のすべてを調べ尽くした訳ではないはず。自分が知り得た中でのチャレンジで結果が出ず、その限界を受け入れている状態たということ。

 

 

だから、まだまだ大丈夫!答えはあなたの知らない世界にきっとある。この世の中には自分が知らないことは山ほどあり、自分が知っていることなんて本当に少ないのだ。その可能性にフォーカスできる人なら「仕方ないよね」とか言ってる暇はなく、もっと他に何かあるはずと探しているに違いない。

 

怠けることが人間に仕込まれた特性

そうやって答えを見つけようとする人を側でサポートするのが私の役目。努力し、継続する人のお手伝いをする時、私自身も力が湧いて来る。そして、結果を手にした時のよろこびを共有させてもらえることがこの仕事の喜びのひとつだ。

 

 

しかし、人間はある程度の成果を手にすると惰性モードに入るように作られている。自分で怠けようという意思がそうさせるのではなく、これは脳の自動プログラムなのだ。運動は特にその傾向が強い。

 

 

やったことのない動きを覚えて体得するまでは一生懸命に取り組む。その動きをプログラムしていく際に主に最初は大脳に書き込まれるのだが、ある程度それが身について来るとその動きのプログラムは小脳に落とし込まれる。そうすると、それは意識しなくても出来るようになる。日常の動きのすべてはこの仕組みで小脳に格納されている。

 

 

すべての動きをいつも大脳を使って、意識しながらやらなければならないと疲れてしまうので、考えなくても出来るように自動運転モードにしたいのだ。ただ、その自動運転モードで動く時には、脳の神経回路は大して働かず、同じことの繰り返しで刺激も少なくなり、動きの質はもちろん、考えたり、感じたりする力まで鈍くなって来ることがわかっている。

 

死ぬまで進化・成長するのが人間

ところが、以前は楽に出来たことがうまく出来なくなって来ると、決まって口にするのが「年のせいですかね?」という言葉。これも嫌というほど耳にする言葉であり、それを聞く度に口すっぱく言っている。人間は死ぬまで成長する生き物だということを。

 

 

筋肉ひとつとっても、刺激を与えればいくつになっても成長するのは火をみるより明らか。脳ももちろん死ぬまで成長する。むしろ、ほとんどを使わず終いで死んでいくことはご存知かと思う。認知症などが増える一方で、加齢に従い脳の機能は低下する一方などと思っている人が多いが、それもとんでもない間違いだ。それも前述の他人の話を鵜呑みにし、勝手に限界を受け入れて生きている人とまるで同じ。

 

 

いろんな痛みやカラダの不具合で私のところを尋ねて来てくださる方々が、その苦痛から解放されるのは何かすごい治療をしている訳ではない。ただ、惰性モードでかつ、間違った使い方をし続けてきたカラダに対し、その動きのプログラムの大元である脳の神経回路をつなぎ直す、場合によっては新しい回路を作り上げる、そのお手伝いをしているだけなのだ。

 

 

そして、新しい動きを手にした時、新しい思考や感情も手にできる。ただ、運動すれば良い訳ではない。「動く」ことの価値をまだまだ多くの方々はご存知ない。だから、カラダ・知る・ジム BODY TIPSというジムをやり続けている。おかげさまで今日、このジムは9周年を迎えました。多くの方々に支えられてここまで来れたこと、深く感謝申し上げます。

 

 

これからも何でも出来るかどうかはわからない。ただ、何でも出来ると思ってやっている。そうやって自分を信じられない人に変化は起こらないと思っている。これからもそれを信じる人たちの力になりたいと強く思っている。

 

 

 

カラダ・知る・ジム BODY TIPS

コンディショニングトレーナー 

亀田圭一