今時の子供たちがしゃがめない本当の理由

3年くらい前からだったか、いま小学生から高校生まで学校では内科検診とは別にもうひとつ、「運動器検診」というものが実施されているようだ。なぜそんなものが始まったのかは知らないが、そこでスクリーニングされるのは、脊柱側彎症やスポーツのやり過ぎによるスポーツ障害、そしてもうひとつは運動器機能不全なんだとか。

 

 

運動器機能不全なんて言われても一般の人にはわかりにくいかと思う。これは、日頃の不良姿勢や運動不足から起こる「バランス能力の低さ」や「カラダの硬さ」などを指す言葉のようだ。そして、あるところではそこに当てはまる子供たちを「子どもロコモ」などと呼んでいた。ロコモとは、ロコモティブシンドロームの略であり、高齢者で骨や筋肉などの運動器が衰え、立つ、歩くなど日常動作に支障をきたすものを指す言葉だ。それが子どもにも起きているという物言いが私には信じ難い。

 

 

この運動器検診でスクリーニングされるのは以下のような項目らしい。

 

 

・片脚立ちがふらつかず5秒以上できる

・しゃがみ込みができる(かかとが上がらず、後ろへ転倒せず)

・両腕の垂直挙上(耳の後ろまで)できる

・体前屈で膝を伸ばしたまま指が床に楽につく

 

 

そして、どの項目もそれぞれ全体の15%前後の子が出来ないのだとか。そして、どれかひとつでも引っかかる子は全体の40%超だそうだ。だから、何なのだろう?と私は思う。長年トレーナーをやってきて、日々いろんな人のカラダを見ている私が自信を持って言わせてもらうなら、大人はおそらくこの4項目は出来ない人の方が圧倒的に多い。そして、原因はまさしく不良姿勢と運動不足そのものだ。

 

 

ただ、言いたいことは次なのだが、これらが出来ない人たちもすぐに出来るようになるということ!大人が出来るようになるのだから、子どもはもっとすぐ出来るようになるに決まっている。なのに、学校でスクリーニングに引っかかった子供たちはその後、地域の専門医とやらに再度検診に送られるのだそう。ただ、しゃがめない子供たちの何割かは骨や関節の構造的にしゃがめない原因が見られるなどという話を聞いたりもするが、どうしても納得できない。その専門医で最終的に異常と診断された場合、そこでカラダの動きに対するアドバイスをしたりもするそうだが、多くはその後の家庭や学校での体操、ストレッチを継続するよう指導するところでおしまいなのではないかと思われる。

 

 

子供であろうと大人であろうと、しゃがめないなどの理由はカラダの硬さがすべてではない。仮に、そのカラダの硬さに痛みが伴っていたとしても、それはカラダの硬さに起因するものばかりではない。しゃがめないとすぐに足首の関節の硬さ、ふくらはぎなどの筋肉の硬さに注目しストレッチなどの対応に終始するがそんなことで改善するものは極めて少ない。それよりももっと重要なのはコア(いわゆる体幹)の安定であり、その前段階のカラダの歪み補正、これがすべてだ。もちろん程度にもよるが、痛みを伴う硬さであってもその場でしゃがめるようになるものもかなり多い。自分のカラダを捉え、歪みの補正を感覚で覚えてしまえば誰かに特別な治療施術など受ける必要すらない。

 

 

人間のカラダはそんなに粗悪なものではなく、それなりに向き合い手入れを怠らなければいつまでもそこそこ満足に動くもの。大事なことは、その自分のカラダに意識を払っているかどうか、それだけだ。間違っても、可能性に溢れた子供たちを勝手にスクリーニングして、故障品扱いだけはしないでもらいたい。